近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

【読書感想文】裁判官の書斎 続裁判官の書斎 倉田卓次

おすすめ ★★★
近代ゴリラレベル ★★★

 

裁判官の書斎 (1985年)

裁判官の書斎 (1985年)

 

 

 

続 裁判官の書斎

続 裁判官の書斎

 

 1 概要

2 探究心
3 家畜人ヤプーの著者は倉田卓次氏か
 
 
1 概要
 書名からも分かる通り、本書は裁判官による著作である。
 
 近年、ジャーナリストの立花隆氏の書斎を写真で紹介した『立花隆の書棚』という本が出版された。
 本書は、そのような趣旨の書籍ではなく、倉田氏のエッセイ集である。
 
 
2 探究心
 本書に収録されているエッセイは倉田氏の探究心がにじみ出ている。
 まず、フレーズの典拠を徹底的に追及する(「地獄への道」など)。
 また、日本語の言葉はもちろん、訳文に対しても苦言を呈する(「誤訳談義」「続・誤訳談義」など)。
 さらに、辞書の編纂方針がなっていないと喝入れもする(「魔睡考」など)。
 
 種々の考証に関して、倉田氏の探究心を感じることはできる。
 もっとも、これがエッセイとして面白いかと言えば、そうでないものも多い(失礼)。
 マニアックに過ぎるのである。
 何が彼をここまで駆り立てるのだろうかとすら思ってしまう(凡人の感想)。
 
 なお、マニアックさが顔を出さずに気軽に書かれたエッセイは面白いものが多い。
 読書に関するエッセイはどれもおすすめである(「頭休めに本を読め-学生諸君へのアドヴァイス」、「本を汚して読むことなど」、「私の読書法」など)。 
 
 
3 家畜人ヤプーの著者は倉田卓次氏か
 話は変わるが、『家畜人ヤプー』という奇書がある。
 同書の著者は、沼正三である。
 沼正三ペンネームであり、その正体は未だに明らかになっていない。
 以前、沼正三の正体が倉田氏であるという噂が跋扈した(らしい)。
 
 この点に関しては、記事を改めて私見を述べたい。