ストロング本能 人生を後悔しない「自分だけのものさし」
KADOKAWA
2019年
1 概要
現代人は、動物としての「本能」が死んでいる。
「本能」が働かなければ誰かの犠牲になるのみである。
そこで、ストロング本能を呼び覚まし、「ブレない自分軸」の獲得する方法を提示する。
2 コメント
以前、青木選手の著作である『空気を読んではいけない』(以下『空気』と記す。)を紹介した。
結論からいうと、『空気』と比較すると、本書の完成度は低いと言わざるを得ない。
なぜ完成度が低いのか。
抽象的には、本書は、上澄みが示されているにすぎないからである。
『空気』では、青木選手の経歴をなぞる形で、同選手の精神構造、ファイトスタイルが構築されていった様を知ることができた。
つまり、『空気』で示された提言は、その背景が分かるため、いわば立体的だった。
一方で本書は、提言は示されるものの、突発的である。
本書を単体で読んだところで何か物足りない提言の羅列のように受け取られるのではないかと思う。
『空気』を読んだ後に本書を読めば、青木選手の提言の本質を理解できるはずである。
もっとも、本書でも興味深い部分は存在する。
例えば、コンディショニングの記述である。
フィジカルとメンタル、つまり肉体と気持ちはリンクしています。よって、「気持ちが折れる」のは、単純にスタミナが切れているだけというのが僕の意見です。*1
毎日「体内の水分を入れ替える」意識で生活する。*2
「身体にいいことをする」よりも、「身体に悪いことをしない」ほうが大切です。お酒とタバコをやめて、バランスのいい食事を心掛け、夜寝て朝起きるという生活ができれば、だいたい大丈夫です。*3
また、青木選手が問題に向き合う姿勢も良い。
僕はストレスを感じたら、必ず「分解」するようにしています。
「これって何のストレスだろう?」と、要因を突き詰めていく作業。*4
頭のなかにある事柄をすべて書き出して、整理することを習慣づけているのです。*5
普通にいまから勉強しても、賢い人には競り負けてしまうのがわかっています。よって、僕は格闘技とリンクさせてしゃべるようにしています。そうすると、自分にしかないオリジナルになる。*6