佐藤可士和の打ち合わせ
Kashiwa Sato on Meetings
Achieving Breakthroughs in Your Conventional Meetings
日経ビジネス文庫
2019年
1 概要
タイトルのとおり、佐藤可士和が、打ち合わせの技法を説く。
大きく分けて8つのルールを軸に展開する。
2 感想
本書では、打ち合わせにおける奇術が炸裂するわけではない。
このことは、本書に価値がないことを意味しない。
クリエイティブディレクター佐藤可士和であっても、打ち合わせを合理的に実施するという基本を根底に据えていることを確認できることに意義がある。
「この打ち合わせは本当に必要か」を常に精査する意識を持っておくべきだと思っています。60頁
説明はできるだけ簡略にシンプルに。(146頁)
そして、合理化により、以下のレベルまで至っていることが示される。
これは感覚的な話ですが、「サムライ」では無駄は10パーセント未満、ヒトケタだと感じています。(244頁)
奇術とまではいかないものの、応用として、佐藤可士和色が出ている部分も散見される。
単に、平板な情報を記録するのではなく、「自分議事録」(124頁)、「感情の議事録」(198頁)を作成することを勧め、主観面の痕跡を残すことの価値を説く。
あるいは、「極論」と「断片」をうまく活用して、頭の中にあるものを引っ張り出す手法を説く(190頁)。
本書は、打ち合わせの基本と応用について、すぐにでも実践可能な知見を提供する。