わが中学時代の勉強法
1 概要
タイトルの通り、寺田寅彦が自らの中学時代における勉強法について語ったショートエッセイである。
2 コメント
(1)楽学
タイトルには「勉強法」とあるが、型にはまった方法がないことに、寺田寅彦の勉強法の特色がある。
本書を読んでいると、寺田寅彦は感性が最適化された状態で勉強をしていたことが分かる。
そして、ストレスのない状況下での勉強が記憶の定着等の観点から有効であることの自覚も読みとれる。
具体的には、机に向かうことが苦痛なので、自分なりの方法で悠々自適に勉強をしてきたことが記されている。
寺田寅彦は、このような自らの勉強スタイルを苦学との対比で「楽学」と表現している。
ただし、楽学といっても、単にさぼっている訳ではなく、合理性のツボは押さえている。
例えば、以下の事項が記されている。
・教科書に直接書き込みをしノート作成の手間をはぶくこと
・図を記憶の補助に使うこと
・周辺的なエピソード、雑談等も記録し記憶の補助にすること
・まずは物事の根本をおさえることで枝葉末節は自然と分かること
・一段落したところで以前習得した知識との接続をはかること
(2)個人的な実践の報告
本書を読み、私も、早速、楽学を実践してみた。
基本的に夜中は自宅の机に向かって勉強等をしているのだが、この日は実務書一冊を携えて夜中の公園に繰り出した。
街灯の下ならば、本を読むのにも不自由はない。
また、知識の吸収率も悪くないように思えた。
毎日実施することは難しいかもしれないが(天気の問題もある)、気分転換として断続的に実施するには悪くない方法だと感じた。
また、夜中の公園以外にも、自分なりの楽学の形態を追求したいと思った次第である。