近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

思想

【読書感想文】相手への攻撃だけでは脆い

憂国論 新パトリオティズムの展開木村三浩彩流社2007年 まず、形式面として、インタビューで形式であるものの、話が逸れないため、散漫な印象はない。 問答、口頭による説明という理解を助ける利点を享受できる。 本書で、コンパクトながら、木村氏の思想上…

【読書感想文】友情を哲学する

友情を哲学する七人の哲学者たちの友情観戸谷洋志光文社新書2023年 本書は、タイトルのとおり、7人の哲学者の友情に関する言説をとりあげる。 各考察の当てはめとして、漫画の一場面が援用されており、理解を助ける。 とりあげられている漫画は以下のとおり…

【読書感想文】鈴木邦男の読書術

鈴木邦男の読書術 言論派「右」翼の原点鈴木邦男彩流社平成22年 1 概要 読書術とあるが、本書の多くは、読書に関係のあるエッセイで構成されている。 完全にタイトル通りの内容は第4章のみである。 2 感想 本書で特に印象的な内容は、鈴木邦男氏が、複数…

【読書感想文】お手軽愛国主義を斬る

お手軽愛国主義を斬る 新右翼の論理と行動木村三浩彩流社平成25年 1 概要 一水会代表である木村三浩氏による各所の論稿をテーマごとにまとめた書籍である。 テーマは、安倍内閣、民族派の論理、皇室報道、アメリカ、韓国・朝鮮などである。 2 感想 木村氏…

【読書感想文】新右翼

新右翼〈最終章〉 民族派の歴史と現在〔新改訂増補版〕鈴木邦男彩流社平成27年 鈴木邦男氏の他の著作にも共通するが、短文を重ねる文体であり、歯切れが良い。 思考の明晰さがこの文体がに結実しており、表現内容は明確に伝達される。 鈴木氏は、他者に受け…

【読書感想文】近代日本の精神構造

近代日本の精神構造 神島二郎 岩波書店 1961年 本書で、著者は、丸山眞男を西欧の伝統である普遍と抽象の学問をみごとに摂取した希有な人物であると分析している。 そして、丸山眞男の思想形成自体が考察すべき思想史的問題となると問題設定している(なお、…

【読書感想文】大森荘蔵ー哲学の見本

大森荘蔵-哲学の見本 野矢茂樹 講談社学術文庫 2015年 相当程度読み飛ばしてしまい、熟読したのは、第5章「言語的制作の可能性」以降のみである。 相当程度の読み飛ばしという留保のもとの感想としては、本書は、前提知識がなくとも、一文一文を丁寧に…

【読書感想文】法律における理屈と人情

法律における理窟と人情我妻栄日本評論社昭和30年 1 概要 民法学の大家である我妻栄博士の講演録である。 2 コメント 本講演では、法律における理屈と人情は、法律における一般的確実性と具体的妥当性と言い換えられている。 この用語法の紹介のみで一定…

【読書感想文】蹇蹇録

新訂 蹇蹇録-日清戦争外交秘録 陸奥宗光 1983年 岩波文庫 1 概要 日清戦争期に外務大臣を務めていた陸奥宗光による当時の回想録である。 2 コメント 陸奥宗光の文体には味があるように思う。 もっとも、私が歴史の知識に疎く、かつ、この類の本をあま…

【読書感想文】日本の思想

日本の思想 丸山真男 1961年 岩波新書 1 概要 丸山真男による、あまりに有名な啓蒙書である。 I「日本の思想」、II「近代日本の思想と文学」は論文体であり、Ⅲ「思想のあり方について」、Ⅳ「『である』ことと『する』こと」は講演体である(181頁)。…

【読書感想文】民族の表象

民族の表象 歴史・メディア・国家 羽田功編 慶應義塾大学出版会 2006年 1 概要 メディアによって構築されたイメージである「民族」を読み解く。 このコンセプトに沿った論文が複数収録されている。 2 コメント 学生時代に読んだ本書を再読し、せっかくなので…