近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

2024-01-01から1年間の記事一覧

【読書感想文】反省

反省 私たちはなぜ失敗したのか?鈴木宗男、佐藤優アスコム2007年 約15年前の書籍であり、話題としては旬を過ぎているものが多い。 その中でも、現在でも参照すべき部分があるとすれば、その部分は一定の普遍性を帯びた人間考察、組織考察を提示していると言…

【読書感想文】同志社大学神学部

同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか 佐藤優 光文社新書 2015年 本書は、佐藤優氏の大学、大学院時代の経験、学びのダイジェストである。 佐藤氏の学生時代の出来事は『私のマルクス』でも触れられていた。 本書は、マルクスに関する事柄を主…

【読書感想文】女たちのアンダーグラウンド

女たちのアンダーグラウンド 戦後横浜の光と闇山崎洋子亜紀書房2019年 本書は、主に戦後の横浜を対象として、歴史の闇の中に葬られそうになっていた不遇な女性たちに光を当てる。 歴史を編纂する上で意識的、無意識的に捨象される不都合な事実に目を向け、人…

【読書感想文】悲の器

悲の器高橋和巳河出文庫2016年 本作品は、権威主義的法学者が私情で破滅していくという明確な舞台設定で展開する。 論理で割り切れない情念に飲み込まれていく中で、高尚な理念や理論が空虚に響きわたる場面が何度も描かれる。 上述の舞台設定のもとでは、理…

【読書感想文】謝罪論

謝罪論 古田徹也 柏書房 2023年 本書は、哲学・倫理学を専門とする古田准教授による著作である。 本書は、分析対象を謝罪に設定したことで、類書がほとんど存在しない書籍に仕上がっている。 本書のエピローグでは、具体的な謝罪のための「実践的なヒント」…

【読書感想文】読む・打つ・書く

読む・打つ・書く三中信宏東京大学出版会2021年 一見奇をてらったタイトルに見える「読む・打つ・書く」は、「読書論・書評論・執筆論」を意味する。 理系研究者による読書論・書評論・執筆論のエッセイであり、著者もあとがきで自負するように類書は少ない…

【読書感想文】Chat GPTは神か悪魔か

Chat GPTは神か悪魔か落合陽一他宝島社新書2023年 本書は、複数の著者のChat GPTに関する小稿を収録している。 以下の論稿は、ChatGPTの現在位置を直感的に理解でき、特に興味深かった。 ・「職業」は簡単には消滅しないという導入から、現時点における生成A…

【読書感想文】基礎から分かる論文の書き方

基礎から分かる論文の書き方 小熊英二 講談社現代新書 2022年 本書は、新書でありタイトルも軽い。 それゆえ、多くの者は、本書を見て、学部生向けの卒論作成のマニュアル本といった第一印象を抱くだろう。 しかし、本書を眺めていると、すぐに異変に気付く…

【読書感想文】天才はあきらめた

天才はあきらめた 山里亮太 朝日文庫 2018年 結論として、山里氏が天才であるか否かは問題でない。 本書では、細部への偏狭的ともいえるこだわり、下準備としての大量の反復作業、試行錯誤が多数の箇所で展開されている。 この一職人の矜持をくみとればよい…

【読書感想文】ユーモアは最強の武器である

" data-en-clipboard="true">ユーモアは最強の武器である " data-en-clipboard="true">スタンフォード大学ビジネススクール人気講義 ジェニファー・アーカー、ナオミ・バグドナス著 神崎朗子訳 東洋経済新報社 2022年 本書は、序盤の章でユーモアの効能を説…

【読書感想文】サラ金の歴史

サラ金の歴史 消費者金融と日本社会小島庸平著中公新書令和4年 本書は、研究者による著作であり、できる限り党派性を排除すべく記述されていることが良い。 サラ金の問題は、ひとまず業界とは距離を取り、歴史として批判的に整理される必要がある。 だが、か…

【読書感想文】実証史学への道

実証史学への道 一歴史家の回想 秦郁彦 聞き手 笹森春樹 中央公論新社 平成30年 本書は、現代史家(あるいは、「歴史鑑定人」※本書のあとがきを参照)である秦郁彦氏の回想録である。 回想録自体も読み物とし面白いが、時折さりげなく示される著者の歴史家と…

【読書感想文】最高の脳で働く方法

最高の脳で働く方法 デイビッド・ロック著 矢島麻里子訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019年 本書は、脳の有効活用するために脳の仕組みの言語化を志向する。 脳のプロセスの違いはそれほど大きくはない。 ・・・当然この変更は労力と注意を要し、自分の…