ノンフィクション
反省 私たちはなぜ失敗したのか?鈴木宗男、佐藤優アスコム2007年 約15年前の書籍であり、話題としては旬を過ぎているものが多い。 その中でも、現在でも参照すべき部分があるとすれば、その部分は一定の普遍性を帯びた人間考察、組織考察を提示していると言…
女たちのアンダーグラウンド 戦後横浜の光と闇山崎洋子亜紀書房2019年 本書は、主に戦後の横浜を対象として、歴史の闇の中に葬られそうになっていた不遇な女性たちに光を当てる。 歴史を編纂する上で意識的、無意識的に捨象される不都合な事実に目を向け、人…
サラ金の歴史 消費者金融と日本社会小島庸平著中公新書令和4年 本書は、研究者による著作であり、できる限り党派性を排除すべく記述されていることが良い。 サラ金の問題は、ひとまず業界とは距離を取り、歴史として批判的に整理される必要がある。 だが、か…
地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団森功講談社文庫令和4年 本書では、積水ハウスが被害者となった事件をはじめ、複数の有名地面師詐欺事件が紹介されている。 地面師詐欺は、詐欺の大枠は大胆であるものの、細部の手口は極めて精巧である。 例えば、…
亡命者の古書店 続・私のイギリス物語 佐藤優 新潮文庫 平成30年 前作『紳士協定』では、聡明な少年であるグレンとの対話が大部分を占めていた。 未成熟な少年特有の悩みや感性が醸し出す独特の空気感が同作の特徴となっていた。 一方で、本作では、対話相手…
紳士協定 私のイギリス物語 佐藤優 新潮文庫 平成26年 佐藤優氏は、外務省入省2年目に語学研修でイギリスに駐在していた。 この際のステイ先で出会った12歳の聡明な少年であるグレンとの会話や交流を中心に描いたノンフィクションが本書である。 本書の特…
雪ぐ人 「冤罪弁護士」今村核の挑戦佐々木健一新潮文庫令和3年 職人の生き様である。 なぜ、冤罪の刑事弁護を主たる仕事とするのか。 今村弁護士は、「私が生きている理由、そのものです」と答えた(18頁)。 「だから、単に可哀想な人とかね、そんな風には…
戦前の少年犯罪管賀江留郎(少年犯罪データベース主宰)築地書館2010年 「近年の少年犯罪は凶悪化した」と言われることがある。 この言説に対する反証を提示することが本書の役割である。 本書の著者は、管賀江留郎氏とふざけたペンネームであるが、内容は全…
私の書斎活用術「知的生産の技術」研究会編著講談社昭和58年 1 概要 著名人の書斎を紹介する企画である。 2 感想 少し古い本であるが、水木しげる氏と小室直樹氏の書斎に興味があったため、読むことにした。 水木しげる氏については、取材メモに「漫画家と…
「陸軍中野学校」の教え 日本のインテリジェンスの復活と未来 陸上自衛隊元陸将 福山隆 ダイレクト出版 2021年 本書は、陸軍中野学校に関連付けて戦後史の裏側なども取り上げるなど、内容は多岐に渡る。 その中から、インテリジェンスオフィサーに求められる…
上野久徳伝 陸軍参謀から企業再建弁護士へ加藤恭子ノンフィクション・グループ著三省堂2007年 1 概要 書名のとおり、陸軍参謀から企業再建弁護士となった上野久徳弁護士の評伝である。 2 感想 私は上野弁護士の存在を知らずに、偶然本書にたどり着いた。 …