前回、読書法の大方針を示すものについてとりあげた。
今回は、より具体的な技術を示すものをとりあげるとともに、若干の補足をする。
2 より具体的な技術を示すもの
(1)大人のための読書の全技術
本書では、アウトプットを意識した読書の重要性を力説するところに特色がある(214頁)。
概念、発想法などを知り、活用することで、知識が血肉化するのである。
書き言葉で思考すること(264頁)、受け売りをこえて、経験と言葉を結びつけていくこと(272頁)などを提示する。
また、個人的には、まずは入手した本になじむ=本をさばくという考え方が面白いと思った(99頁)。
なお、同じ著者の本でアウトプットに特化した『必ず覚える!1分間アウトプット勉強法』(PHP新書、2011年+)がある。
(2)読書の技法
著者は、本について以下の三分類をする。
①簡単に読むことができる本
②そこそこ時間がかかる本
③ものすごく時間がかかる本
その上で、速読の目的は読まなくてもよい本をはじき出すことだとする。
読み方については、以下の三分類をする。
①超速読
②普通の速読
③精読
本書ではそれぞれの読み方を実演しており、徹底した技術解説をする本といえる。
なお、レーニンの読書ノートが紹介されており、興味深かった(105頁)。
3 その他
以下の本は、個人的にはあまり参考にならなかった。
(1)ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法
読書に限らず、より広い知的生産について扱っている。
読書に関しては新たな知見を得ることはなかった。
(2)本を読む本
講談社学術文庫の本である。
how to本でありながら、一定程度硬派である。
内容は堅実であるものの、ここから新たな知見を得ることはなかった。