近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

2022-01-01から1年間の記事一覧

【読書感想文】父として考える

父として考える東浩紀・宮台真司著NHK出版生活人新書2010年 社会学者の宮台真司教授と評論家の東浩紀氏による父をテーマとした対談本である。 この2人の対談本である時点で、典型的な子育て指南書になっていないことが頭をよぎるだろう。 早くも前書きでこの…

【読書感想文】驚きの白さだ! 不良どもが恐れるIQサラリーマン!!

KAMINOGE No.125 玄文社 2022年 弥益選手のインタビューが掲載されている。 煽り文句は、以下のとおりである。 「筑波大卒のサラリーマンがRIZINでメインを張る時代! オラオラでもイケイケでもない人間は、この男の“隙間を突く生き方”を学べ!!」(8頁) …

【読書感想文】人体600万年史

人体六〇〇万年史 科学が明かす進化・健康・疾病 上・下 ダニエル・E・リーバーマン著 塩原通諸訳 早川書房 2018年 1 概要 人間の生物的進化と文化的進化の相互作用を六〇〇万年という大局から読み解く。 生物学的進化が文化的進化に適応していないことに…

【読書感想文】思考する格闘技

思考する格闘技 松原隆一郎 廣済社 2002年 1 概要 東大教授(本書出版時)による格闘技論である。 2 感想 本書は具体的な技術について言及する部分もあるが、大部分は格闘技の本質論の探求である。 本書は、格闘技の「理念」について、①実戦性、②競技性、③…

【読書感想文】上野久徳伝 陸軍参謀から企業再建弁護士へ

上野久徳伝 陸軍参謀から企業再建弁護士へ加藤恭子ノンフィクション・グループ著三省堂2007年 1 概要 書名のとおり、陸軍参謀から企業再建弁護士となった上野久徳弁護士の評伝である。 2 感想 私は上野弁護士の存在を知らずに、偶然本書にたどり着いた。 …

【読書感想文】石田徹也全作品集

石田徹也作品集 石田徹也 求龍堂 2010年 立花隆氏の著作で紹介されていたことをきっかけとして手に取った1冊である。 gorillamodernism.hatenablog.com 究極的には美術に意味を求めてはいけないと思わせる作品集であった。 石田氏の作品は、作品名と絵が一致…

【読書感想文】経営リーダーのための社会システム論

経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来 宮台真司・野田智義 光文社 2022年 1 概要 経営学者である野田氏と社会学者である宮台氏による講義録である。 「ビジネスパーソンが日頃関心を持ちづらい知の体系がいかに有意義でスリリングな…

【読書感想文】近代日本の精神構造

近代日本の精神構造 神島二郎 岩波書店 1961年 本書で、著者は、丸山眞男を西欧の伝統である普遍と抽象の学問をみごとに摂取した希有な人物であると分析している。 そして、丸山眞男の思想形成自体が考察すべき思想史的問題となると問題設定している(なお、…

【読書感想文】世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0

世界一のプロゲーマーがやっている努力2.0 ときど ダイヤモンド社 2019年 1 概要 「東大にうかる」努力では、もう勝てない(帯)という煽りのもと、東大卒のプロゲーマーが、従来の努力論をVer.1.0とした上で、Ver.2.0の努力論を開陳する。 努力論を開陳す…

【読書感想文】なにわの6代目社長だから言える小さな会社の「永続経営」

なにわの6代目社長だから言える小さな会社の「永続経営」 乾二起著 幻冬舎 2019年 1 概要 建設資材卸売業の6代目経営者が、これまでに身につけてきた経営的知識を端的にまとめた書である。 2 感想 この類いのビジネス書は、武勇伝、精神論で埋め尽くされ…

【映像感想文】三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

監督 豊島圭介 私は、これまで、三島由紀夫と東大全共闘との討論のいくつかの場面は観たことがあった。 この映画では、今まで観たことのなかった場面も取り上げられていたため、この一事のみをもっても、この映画を観た価値はあったといえる。 平野啓一郎氏…

【読書感想文】三島由紀夫VS東大全共闘 1969-2000

芥正彦他 藤原書店 2000年 1 概要 三島由紀夫の自決から30年後に開催された東大全共闘らの座談会である。 2 感想 「今回の討論は、長時間にわたりほとんど打ち合わせなしで行われた」(254頁)という性質上、やむを得ない側面はあるが、議論が拡散し…

【読書感想文】大人のための性教育

子どもに語る前に 大人のための性教育 岡崎勝 宮台真司 ジャパンマシニスト社 2022年 1 概要 小学校教員である岡崎氏と社会学者である宮台氏の性愛に関する対談である。 2 感想 ポップな表紙に油断するものの、内容は思った以上に理屈っぽい(これはマイナ…

【読書感想文】幸福なる人生

幸福なる人生中村天風「心身統一法」講演録PHP研究所2011年 1 概要 中村天風の心身統一法に関する複数の講演録である。 2 感想(1) 総論と各論 本書の内容は、難解な哲学が展開さいれているわけではなく、字面を表面的に理解することは容易である。 もっとも…

【読書感想文】佐藤可士和の打ち合わせ

佐藤可士和の打ち合わせ Kashiwa Sato on Meetings Achieving Breakthroughs in Your Conventional Meetings 佐藤可士和 日経ビジネス文庫 2019年 1 概要 タイトルのとおり、佐藤可士和が、打ち合わせの技法を説く。 大きく分けて8つのルールを軸に展開す…

【読書感想文】分かりやすい公用文の書き方

分かりやすい公用文の書き方 第2次改訂版 礒崎陽輔著 ぎょうせい 令和4年 「公用文」の書き方の本なので、ビジネスパーソンである自分には関係ないと思わないでほしい。 本書の序章には、公用文の書き方の要点について、以下の説明がある。 公用文の書き方…

【読書感想文】三島由紀夫の家

三島由紀夫の家篠山紀信撮影篠田達美文美術出版社1995年 1 概要 三島由紀夫の自宅の写真集である。 写真部分だけでも200頁あり、三島由紀夫の愛用品の接写なども含まれている。 2 コメント 私は、本書の存在自体は知っていたものの、これまで、本書を手…

【読書感想文】大森荘蔵ー哲学の見本

大森荘蔵-哲学の見本 野矢茂樹 講談社学術文庫 2015年 相当程度読み飛ばしてしまい、熟読したのは、第5章「言語的制作の可能性」以降のみである。 相当程度の読み飛ばしという留保のもとの感想としては、本書は、前提知識がなくとも、一文一文を丁寧に…

【読書感想文】法律における理屈と人情

法律における理窟と人情我妻栄日本評論社昭和30年 1 概要 民法学の大家である我妻栄博士の講演録である。 2 コメント 本講演では、法律における理屈と人情は、法律における一般的確実性と具体的妥当性と言い換えられている。 この用語法の紹介のみで一定…

【読書感想文】読書脳

読書脳 ぼくの深読み300冊の記録立花隆2016年文春文庫 1 概要 第1部の小稿と第2部の書評という二部構成のシリーズ物の4冊目である。 第1部は、「読書の未来」と題する対談である。 なお、今回、本書を読んだことで、私は、このシリーズを全て読…

【読書感想文】4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

『カンガルー日和』 村上春樹著 佐々木マキ絵 1986年 講談社文庫 内容は、作品名のとおりである。 一貫して何とも言えない不思議な雰囲気をまとっている作品である。 「100パーセントの女の子」とすれ違ったと確信した主人公(名前不明。村上春樹作品…