近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

【読書感想文】日本のエリート

日本のエリート リーダー不在の淵源を探る

橘木俊詔

朝日新書

 

おすすめ ★★

近代ゴリラレベル ★

 

日本のエリート リーダー不在の淵源を探る (朝日新書)

 

 エリートとして登用される者はどのような能力を有しているか。

 この疑問に対する答えを求めて本書を手に取った。
 
 結論としては、本書は、いかなる能力を有している者がエリートとして登用されたかという切り口からの論述は少ない。
 本書が主眼とするのは、いかなる出自、学歴を有する者がエリートとして登用されたかという切り口である。
 そのため、個々のエリートの能力というよりは、組織構造の読解、社会構造の読解に力が注がれているといえる(そしてこの読解自体も目新しさはない)。
 人物紹介もあるが、その内容も当該人物の思考回路、行動様式等を探求するのではなく、経歴や実績を淡々と記述するものであり物足りない。
 
 本書の後半ではエリートの能力に関する論述がある。
 しかし、当該論述は、著者による「エリートかくあるべし」という主張であり、やはり、冒頭の疑問に答えるものではない。
 
 私は、本書を中古で購入したため分からなかったが、今改めて画像で本書の帯を見ると、本書が私の疑問に答える内容を含んでいないことはある意味当然といえる(帯からは制度批判の色合いがにじみ出ている)。
 
 蛇足になるが、本書は違和感を覚えるほどマルクスを持ち上げてるのだが、その心は。