Number 1076
バウアー「投球は科学であり、芸術だ」
文 生島淳
令和5年
本稿では、このバウアーの試みは、映像分析の先駆けであったと指摘している。
運動能力の低い僕の特徴はブレイン、頭脳だ。僕は僕自身にコーチングできる。それも、誰よりも早く。‥・学習速度を最大限加速できる頭脳が僕の武器なんだ(49頁)
ただし、理性的な分析のみでは不十分である。
24時間、1週間、365日、僕はそのことに情熱と時間を投下できる。何かにハマってしまったら、寝食を忘れてしまう性分なんだ。だからこそ誰よりも早く、新しいスキルを手にすることができるんだと思う(49頁)
いささか修辞的に表現すれば、社会においては、誰もが何らかの場面では弱者になり得るといえる。
そして、弱者が感覚のみで物事に対峙しても、凡庸な結果しか残らない。
弱者が感覚のみでは到達し得ない領域に到達するためには、熟考し、物事を突き詰める姿勢を持たなくてはならない。
さらに、その姿勢には熱情が伴うことが必要である。
バウアーからこれらの重要な教訓を認識させられる。