1 落合博満氏について
2 理論と理屈
3 一般化可能
落合博満 バッティングの理屈―――三冠王が考え抜いた「野球の基本」
- 作者: 落合博満
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/07/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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1 落合博満氏について
私は、落合氏に対しては好意的な印象を持っている。
落合氏の合理主義的側面に惹かれるのである。
落合氏の現役時代の活躍はもはや説明不要である。
引退後は「オレ流」を標榜してドラゴンズを率いたことが印象的である。
オレ流の手法は、合理的ゆえに冷徹なニュアンスを含む時があり、一定の反発にあった。
しかし、実績という点からすると、やはり落合氏の方法が間違いだと断罪することは難しいだろう。
現場でのやりにくさ等があったのかもしれないが、それは私の視点からは知覚できない。
限定的な視点からの意見になることをご容赦願いたい。
2 理論と理屈
私は落合氏の合理主義的側面に惹かれると述べた。
本書でも合理主義が炸裂している。
抽象論は高尚に響く。
しかし、抽象論は現場の実践の段階では必ずしも適切な指針になるとは限らない。
現場レベルで活用できる具体的な指針を与えるためには、現場における「感覚」が記述されていることが重要である。
本書は、現場での具体的実践に直結する内容である。
そして、一定の提言がある場合にはそこに理由付けがなされているため、単なる精神論とは一線を画する。
何より、本書のタイトルを「理論」とせず、「理屈」としたところに落合氏らしさが表れていると思う。
何度も繰り返し書いているが、私は、“バッティングの理屈”を考えている。野球の進歩によって多様化した理論よりも、誰にでもできる理屈の方が理解しやすいと考えているからだ。No 2516 ※kindle版の頁数(以下同じ)
3 一般化可能
本書は、タイトルの通り、バッティングに関する解説書である。
しかし、本書で示されている考え方は、単にバッティングのみに当てはまるのではなく、より広く一般化できるものである。
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