同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか
2015年
本書は、佐藤優氏の大学、大学院時代の経験、学びのダイジェストである。
佐藤氏の学生時代の出来事は『私のマルクス』でも触れられていた。
本書で頻繁に登場する神学に関する対話、引用は相当程度読み飛ばしてしまった。
もっとも、神学生同士の観念と現実が交錯する特殊な会話は、まるで小説における会話のような趣がある。
進路選択の際にも、観念的な対話の中から実社会への接合を模索する少し特異な苦悩が描かれている。
フロマートカが言うように、神学を営むフィールドは、大学の図書館や研究室ではなく、この世界だ。わたしは、外交官という窓を通ってこの世界に出ることに決めた。279頁
なお、本書では、佐藤氏が外務省専門職試験の勉強をする場面も描かれているところ、博覧強記の知的強者とでもいえる佐藤氏が、受験勉強には苦労していたことは示唆に富む。
当たり前のことではあるが、勉強や知の形態は一様ではありえないことを実感できる。