マンガは哲学する
永井均 著
おすすめ ★★★★
近代ゴリラレベル ★★★★★
1 概要
本書は、タイトルのとおり、マンガを題材として哲学的な解説をする。
著者曰く、哲学をマンガという分かりやすい媒体で伝えるというよりは、マンガという媒体でしか伝えることができない哲学を提供するものである。
著者は哲学者である永井均教授である。
2 コメント
私は、本書を「真の入門書」であると思う。
これはどういうことか。
巷の入門書は、一般的に、専門的な内容を薄めた形で提供する。
はじめて酒を飲む人に酒を勧める状況に例えるのであれば、
「水で薄まった酒からはじめよう。」
といったところであろうか。
一方で、本書は、
「お前が水だと思って飲んでるのは実は酒だよ。」
というノリである。
上記第1項のとおり、マンガを使って簡易な哲学的解説をするというよりは、マンガという形式でしか表現できない哲学を展開するものである。
以下の例を見れば、著者の狙いは一目瞭然であろう。
さらに、本書は、内容自体は深い検討がなされているものの、記述は平易であり、一文一文を順に読み解いていけば普通に理解できる。
固有名詞がセンテンスに開かれているため、文章を読んでいて引っかかりがない。
本書は以上の性質を備えているため、私は本書を「真の入門書」と表現する訳である。