これまでも何冊か読書法、読書術(以下、単に「読書法」と表記する)に関する本をとりあげてきた。
今回は、これまでとりあげていない同種の本をまとめて紹介し、見取り図を示す。
読書法に関する本について、便宜的に二種類に分類する。
①大方針を示すもの、②より具体的な技術を示すもの、である。
1 大方針を示すもの
「速読」のイメージとして、流し読みをしただけで本にかかれた情報が頭にダウンロードされるというものがある。
そして、このイメージを意図的にばらまき、速読幻想を広める向きは間違いなくある。
サヴァンなどの特異体質を有する者であればそのような速読も可能かもしれないが、基本的に、このイメージは幻想として見送って良いと思う(特に、古典、学術書などの硬質な文章についてこの意味での速読ができるとは思えない)。
一般人が目指すべきなのは、もっと地に足の着いた戦略である。
そこで、目指すべき速読の大方針を示してくれるのが以下の二冊である。
(1)どんな本でも大量に読める「速読」の本
宇都出雅巳、大和書房、2011年
概要としては、内容を知っているからこそ速く読めるのであり(CHAPTER1)、知っていることを増やす=ストックを蓄えるためには、繰り返すという発想が重要であるとする(CHAPTER2)。
そして、高速大量回転法という読み方を提示する。
この方法は、①「速く読むから理解できる」、②「一回目より二回目の方が速く読める」という事実に下支えされている。
CHAPTER3以降は、高速大量回転法の実践について解説する。
詳細は、各自で同書を確認されたい。
(2)遅読家のための読書術
印南敦史、ダイヤモンド社、2016年
速読とは、正しい流し読みであるとし、「フローリーディング」を提唱する。
上記(1)と比較して、より広い話題を扱っている。
具体的には、本を読む時間の確保、知識をストックする方法、選書・管理の方法などである。