アクション リーディング 1日30分でも自分を変える"行動読書"
赤羽雄二
SBクリエイティブ(kindle版)
2016年
1 概要
「1日30分でも自分を変える"行動読書"」というキャッチコピーが記載されている。このキャッチコピーのとおり、本書は、読書をいかに行動(ビジネス)につなげるかという点を強調することに特色がある。
読書時間捻出術(第2章)、集中読書術(第3章)、読書を行動につなげる方法(第4章)、情報感度の高め方(第5章)などの内容で構成されている。
2 コメント
(1)前提確認
ここから、著者の言う「読む」とは、一文一文を読む精読を意味していると思われる。
もっとも、仕事における読書については、「アサインされた仕事に必要だと思われる本を片っ端から読んで、必要と思われるところにどんどん付箋をつけ、現場で該当する場面に出会ったら、そこを確認する」ことで、「‥本と現場で知識を往復させ」ていた(No.276)と述べており、速読的な方法を完全に排除している訳ではない。
(2)類書との相違点
上記第1項のとおり、本書は、読書をどう活かすかという視点を強調している点に特色がある。
読書はあくまで手段であって目的ではないことを念頭に、書店で安易に買い込まない(No.1559)などのアドバイスを提示する。
本の読み過ぎを諫める場面(No.651)がある、珍しい読書本である。
このような基本姿勢を堅持した上で、アウトプットの重要性を説く。
本を読む時間より、アウトプットの時間を重視する。
結局は、読書を利用して何を得ることができるかであり、どれだけ使える知識が残存するかという歩留りの問題に収束させることに著者の合理性が光る。
(3)アウトプットの技法
本書でとりあげられているアウトプットの技法をいくつか紹介する。
ア 講演をする(No.1135)
勉強をせざるを得ない状況に自分を追い込むということであろう。
イ 人に話す(No.1148)
話すからには、内容を工夫することとなる。
本書では、露骨には書かれていないが、当然、面白くないと相手に迷惑であるので、内容を工夫するという負荷がかかり知識が定着すると思われる。
ウ 読んだ直後にメモを書く。もやもやを全部はき出す。(No.804)
著者の提唱する、0秒思考である。
この方法の所要時間は短い一方で、やってみると分かると思うが、後の強力な記憶補助装置となる。
費用対効果が高い方法と思う。