完全版 社会人大学人見知り学部卒業見込み
角川文庫
おすすめ ★★★
近代ゴリラレベル ★★★
1 概要
オードリー若林氏によるエッセイ集である。
知人から勧められて読んだ一冊である。
エッセイの内容は、一貫して、斜に構えている。
斜に構え、社会(常識)に対してゆさぶりをかける。
一方で、一定程度の順応も示す。
なお、本書では、非常識と反常識の間は「社会童貞」と表現されている(333頁)。
2 コメント
本書で、若林氏が斜に構えている程度は、非常識と反常識の間である。
非常識は、迷惑だが、反常識は時として、意外なアイディアを生んだりする。
そもそも常識とは何だろうか。
本書で最も印象的だった部分は、春日についての考察である。
ぼくらオードリーが盲学校の小学生と一緒に仕事をした時のことである。子どもたちがみんな「春日ー!」と相方に集まるのである。ぼくの方には一人もこなかった。ぼくは、春日が子どもに人気があるのは見た目にインパクトがあるからだと漠然と思っていた。しかし、見た目は関係なかった。春日という男は自分に自信があり余裕がある。子どもたちはそれを感じ取って春日に集まっているのではないかと感じた。また、逆にぼくの息苦しさも同時に子どもたちは感じ取っているような気がした。 (211~212頁)
なお、同じように反常識的なエッセイとして、三島由紀夫『不道徳教育講座』が想起される。
備忘
(頁)
24 世の人は食べ物と他人の暮らしにすごい興味があることに気づいた。
43 「お酌」の起源。
79 性格は形状記憶合金のようなものであり、変わらない。
97 平野啓一郎著『ドーン』分人について
148 ディフェンスがトリッキー過ぎて攻撃になっちゃってる。
187 「笑い待ち」客席に笑いが起こった時に笑いが収まるまで次の台詞を待つこと。
288 狩野英孝の天才性。主観の強い人のエネルギーに、客観により自分を制御しながら生きている多くの人は惹き付けられる。
300 「なぜ40万ものフォロワーを持つことができたのか?」「私が微妙にブスで微妙にダサいからですよ。」