仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方
松村真宏 著
おすすめ ★★★★
近代ゴリラレベル ★★★★
1 概要
「仕掛学」という分野があるらしい。
仕掛学とは、文字通り「仕掛け」に関する学問である。
本書では「仕掛け」の定義があり、以下の3要件を全て満たすものを「仕掛け」としている(本書36~37頁)。
①公平性(Fairness):誰も不利益を被らない。
②誘因性(Attractiveness):行動が誘われる。
③目的の二重性(Duality of purpose):仕掛ける側と仕掛けられる側の目的が異なる。
本書は、仕掛学の概要を紹介するとともに、実際の仕掛けの写真が多数掲載されている。
松村教授は、あとがきにて、仕掛学の名刺代わりである本書の出版はかねてからの悲願であったと感慨深く述べている。
2 コメント
自由になされたと思われる人間の意思決定も、知らず知らずのうちに外部的要因の影響を受けている可能性があることはよく知られている。
本書では、これが抽象的な理屈ではなく、具体的な仕掛けとして可視化されているのが面白い。
本書に収録されている数々の仕掛けを是非味わっていただきたい。
さらに考えを敷衍すると、日々自分が自由意思で行ったと過信している決定も実は何らかの仕掛けの影響を受けているかもしれないということに思い至る。
日々の生活環境を観察してみることで思わぬ発見があるかもしれない。
また、プラスの意味合いでは、自らの行動改善をする際に、自らの意志に頼るのではなく、一定の仕掛けを構築し、自らを操るアプローチを試したいと思った。
備忘
(頁)
132 子供を観察する。
135 行動観察。繰り返し観察される出来事には何らかの理由があるはず。
157 オズボーンのチェックリスト
1 他の使い道は?
2 他に似たものは?
3 変えてみたら?
4 大きくしてみたら?
5 小さくしてみたら?
6 他のもので代用したら?
7 入れ替えてみたら?
8 逆にしてみたら?
9 組み合わせてみたら?