一生モノの勉強法 京大理系人気教授の戦略とノウハウ
鎌田浩毅
おすすめ ★★★
近代ゴリラレベル ★★★
1 概要
本書のタイトルのとおり著者は、火山学を専門に研究する京大大学院の教授である。
本書は、鎌田教授が試行錯誤の経験から生み出した勉強のテクニック=一生モノの勉強法を公開するものである。
本書の内容は、知識の習得方法のみにとどまらず、教養を磨く勉強、コミュニケーション技術にも及ぶ。
2 コメント
鎌田教授は、時に真っ赤な革ジャンに赤いパンツという全身赤ずくめのファッションで登場したりと、変わり者として知られているらしい(本人によるとこれは戦略的な振る舞いである。)。
もっとも、本書に収録されている、時間管理、作業の効率化などは、いたってオーソドックスである。
この類いの本は類書があまりにも多く、ネタは出尽くした感がある。
そのため、この類いの本で予想外の奇策が示され、衝撃を受けることはないかもしれない。
ただし、別の視点から考えると、変わり者として認知されている京大教授も、結局は、基本に忠実に知的生産をしていることがうかがわれる。
この事実を知れたことが一番の収穫かもしれない。
簡単に「努力」と書きましたが、最も困難なのは「努力をすること」そのものです。実は「努力すること」がきちんとできるようになれば、たいていのことは成就してしまいます。 (29頁)
備忘
(頁)
36 残業に頼ると間延びする。取り組むべき仕事を整理したうえで、仕事のスピードアップを意識する。
あとでやろうと考えると、時間をすぐに消滅していく。
49 集中するには弛緩する時間も不可欠である。
最悪なのは、中途半端に勉強したり、休んだりすることである。
57 昨年の行動記録を参考に計画をたてる。
64 歩いているだけでも勉強になる。歩いているだけで得られる情報には侮れないものがある。
74 夜の12時には寝るようにしている。
98 人間には意識的に学習する領域と、無意識に学習する領域がある。
感性をフル回転して文字情報以外の情報を得た方がいい場合もある。
120 平積みしてある本に注目する。好き嫌いはさておき、売れている理由を探ることで仕事のヒントにする。
138 世の中で棚上げ読みができないのは、おそらく数学書くらいのものであろう。
153 新聞を読むのは1紙、しかも1日10分まで。
202 勉強に関しては目からエル情報が圧倒的に多く、目以外の感覚器を使う機会が少ない。
逆にいえば、五感の全てを万遍なくかつ積極的に使うことができれば、脳にもっと新鮮な刺激を与えることができる。