２０ヵ国語ペラペラ 私の外国語学習法
種田輝豊
ちくま文庫
2022年
タイトルからすると、典型的なハウツー物という印象を抱く。
しかし、第１章「わたしの語学人生」を読みはじめると、すぐにその印象は打ち砕かれる。
著者にとって、外国語学習＝人生であり、幼少期からの回想をする第１章は、純粋に読みものとして面白い。
特に驚いたことは、著者の外国語に対する興味、感性である。
「好きこそものの上手なれ」を地で行く人物である。
・・・発音の問題に関心を示しだしたわたしは、辞書の発音記号の説明の欄を徹底的に読みあさった。
それは問題意識がはっきりしていたため、非常におもしろい勉強であった。48頁
発音に関する説明、八品詞についての概要、それから各品詞ごとの詳細、最後に文章論というぐあいに、いわば、わたしが知っていた英語の総整理以外なにものでもないこの勉強に、それからのわたしは没頭したのであった。56頁
第４章の「体験的速修術２９項」はタイトルのイメージに近い内容である。
第４章に至るまでの章があるからこそ、この章が息づく。
本書の初出は1969年である。
実際に本書を読み、再版されるだけのことはあると思った次第である。
