近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

【読書感想文】立花隆の書棚

立花隆の書棚
會田純一写真
2013年

立花隆の書棚

 
 
1 概要
 書名の通り、立花隆の書棚をフルカラーの写真で紹介する。
 そして、立花隆自身が書棚を巡りながら、それぞれの蔵書について解説をする。
 
 
2 コメント
(1)立花隆ファン垂涎の一冊
 立花隆の書棚がフルカラーでとことん提示される、立花隆ファン垂涎の一冊である。
 
 本書を作成するにあたって、カメラマンの會田氏は1万回シャッターを切ったとのことである(4頁)。
 このような労力のかかるニッチな本書が出版されたことには感謝したい。
 
 
 これまで、本書が出るまでも立花氏の書棚の概要が紹介されることはあった。
 
 しかし、本書のように、蔵書一冊一冊の詳細が丸わかりな紹介の仕方はなかったように思える。
 
 立花隆氏の頭の中をのぞける、という知のヌード写真(5頁)に興奮必至である。
 
 
 
(2)書棚の様子
 これまでも立花隆氏の仕事部屋の写真は何度も公開されてきた。
 そして、その仕事部屋の様子を見た者の多くが、「物が多い」という印象を持ったと思われる。
 
 書棚についても、本人的にはジャンルや執筆内容ごとに整理されているつもりらしいが、かなり乱雑に置かれているように見える。
 
 実際に、本書でも、実は所蔵していた本が見あたらず何冊も買ってしまったというエピソードと共に同じ本のタイトルが並んでいる写真が示される。
 
 立花氏は、本が物として存在することで、記憶のトリガーとなることを指摘している(6頁)。
 この主張により、煩雑に並べられた蔵書の全てが正当化されることはないと思うが、蔵書に関して一つの面白い意見ではあるだろう。
 
 
(3)神は雑談に宿り給う
 立花隆氏にありがちなことだが、基本的には書棚の蔵書の解説でありつつも、話の内容が頻繁に蔵書の解説を越えて、著者の人物像や時代背景等まで展開し、蘊蓄が披露される。
 
 この脱線した雑談が実に面白い。
 書棚の写真を一通り見た上で、見出しをざっと見て、興味のあるトピックをつまみぐいするという読み方も悪くないだろう。
 
 前書き(8頁)で、読まない本の見極めを推奨している立花隆氏であれば、このような読み方をしても許してくれるだろう。