1 概要
三島由紀夫の自宅の写真集である。
写真部分だけでも200頁あり、三島由紀夫の愛用品の接写なども含まれている。
2 コメント
私は、本書の存在自体は知っていたものの、これまで、本書を手に取ることはなかった。
三島由紀夫の家は、独特な美的感覚に基づいて構成されているが、私は、芸術に関する知識がなく、その真価を理解できないと思っていたからである。
そんな中、神保町の古本屋で、偶然、本書が目に入ったため、自然と手に取り、読む運びとなった。
本書を読み進めた私は、これまで、単純かつ重要なことに考えが至っていなかったことを思い知ることとなった。
三島由紀夫の家の中には、独特な趣味の骨董品などが置かれているが、それが全てではない。
家の中には、書斎がある。
書斎には本棚がある。
本棚には本がある。
当然のことである。
しかし、これまで、この当然のことに思いを巡らすことができなかった。
そして、本書に納められている書斎の写真は、本の一冊一冊のタイトルが判読可能なほど明確に撮影されている。
これらの本が三島由紀夫の蔵書の全てではないことはもちろんのこと、これらの本がいかなる位置づけの本であるかも分からない。
それでも、三島由紀夫の書斎をのぞき見ることができる本書は貴重である。
本書が入手困難になる前に、書斎の写真が納められている事実に気づき、本書を入手できたことは不幸中の幸いである。