近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

【読書感想文】4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて

 
1986年
講談社文庫
 

カンガルー日和 (講談社文庫)

 
 
 
内容は、作品名のとおりである。
一貫して何とも言えない不思議な雰囲気をまとっている作品である。
 
「100パーセントの女の子」とすれ違ったと確信した主人公(名前不明。村上春樹作品のお決まりの一人称「僕」。)が、その女の子に声をかけることができなかった。
そして、仮に、声をかけるとすれば、「100パーセントの女の子」に関する話をするのがよいだろうと思い、その話を披瀝するという入れ子構造となっている。
 
本作品は、10頁足らずのショートショートである。
そのため、上述の抽象的な紹介を参照するよりは、原典を読んでしまった方が早いだろう。
 
 
本作品はあっという間に終わるのだが、「100パーセントの女の子」に関する説明が面白い。
 
しかし100パーセントの女の子をタイプファイすることなんて誰にもできない。
彼女の鼻がどんな格好をしていたかなんて、僕には絶対に思い出せない。
いや、鼻があったのかどうかさえうまく思い出せない。
・・・なんだか不思議なものだ。(19~20頁)

 

 
 
さて、私は、今までの人生で、「100パーセントの女の子」と出会ったことはあるのだろうか。
その存在に気付かずに素通りしたのであろうか。
すでに出会っているのだろうか。
 
読者諸賢はいかがであろうか。