私の書斎活用術
「知的生産の技術」研究会編著
講談社
昭和58年
1 概要
著名人の書斎を紹介する企画である。
2 感想
少し古い本であるが、水木しげる氏と小室直樹氏の書斎に興味があったため、読むことにした。
水木しげる氏については、取材メモに「漫画家というより、民族学者、人類学者といった趣きのある方だ」(184頁)とある。
この取材メモのとおり、膨大な資料、蔵書があり、作品を描く時には、これらを多数参照し組み合わせて描くのだという(189頁)。
想像以上の職人芸であり、今後、水木氏の作品を目にする際には、このことを想起することとなるだろう。
また、家の中のいたるところにお面がかかっているようであり、これが妙な雰囲気を醸し出している。
このような妙な雰囲気が、インスピレーションにつながる側面もあるのだろう。
さらに、以下のやり取りが印象的だった。
趣味は何ですが。
妖怪研究が趣味も兼ねております。(194頁)
次に、小室直樹氏については、以下のやり取りが印象的だった。
本を読むのは速いですか。
英語と日本語は非常に速い。
普通の単行本だったら一時間で読んでしまいます。(216頁)
この「普通の単行本」がいかなる本を指すかによって事情は変わるが、小室博士の技能を示す未知の情報を知れた。
また、小室博士の書斎を写真で見ることができたことも良かった。