近代ゴリラの読書感想文

元予備役。司法試験合格。国家総合職試験合格。

 近代ゴリラ=インテリジェントゲリラ

【読書感想文】僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい
瀧本哲史
2011年
 

僕は君たちに武器を配りたい

 
 学部生の頃に読んだ本の再読である。
 本書の想定読者は学生であり、自明の内容も多い。
 
 もっとも、本書が指摘する情報との接し方、現象の見方は、基本的事項ではあるが極めて重要である。
 
 
 
重要なのは、まず資本主義の本質を理解すること。
 そして、そのメカニズムを正確に認識し、日々刻々と変わる情報を察知して、インプットを変えることで、アウトプットである自分自身の行動を具体的に変えることだ。(7頁)

 

 
 
「ブームとなってから投資すると、死ぬ」というのが投資の鉄則だ。
 誰も投資など考えられない、焼け野原のようになっているときに投資して、誰よりも早く実った果実を回収し、「まだまだ儲かる」と普通の人が思い始めるタイミングでさっと身を引く。(86頁)

 

 
 また、「投資家として生きるのであれば、あらゆることについて自分で調べてみて、考えて結論を出すことが必要となる」とした上で、あるゲーム会社の人気ソフトでバグが発見された際の著者の情報収集の例を紹介する(271~273頁)。
 
 
 
 本書が刊行された後も、情報の流通量はさらに増加し、労働市場流動性も高まっている(本書ではこの流れを想定している。)。
 
 情報量が増加したことにより、質の低い情報も増加した。
 「うまい話」を目にする機会も増えた。
 そして、「うまい話」も古典的典型的な詐欺ではなく、それっぽく見えるものが増えている。
 
 各々が考えを深め、張り巡らされた悪意の網を回避していかなければならない社会なのである。
 
 
 ちなみに、ナニワ金融道では、「ホンマにおいしい話だったら見知らぬ他人に教えるはずがない」(原典を読み返してないので、細部は不正確)という名言があったが、至言であろう。

ナニワ金融道1 (SMART COMICS)