石田徹也作品集
2010年
立花隆氏の著作で紹介されていたことをきっかけとして手に取った1冊である。
究極的には美術に意味を求めてはいけないと思わせる作品集であった。
石田氏の作品は、作品名と絵が一致して、特定の社会風刺と明確に認識できるものもある。
一方で、一見すると何を表現しているのか分からない作品の方が圧倒的に多い。
また、そもそも、「無題」と付された作品も多い。
素人見解であるが、これらの作品について、「この要素は・・・で、これはこうだから、全体としては、・・・を表現をしている」というような分析的な見方は有用ではないと思う。
ただ、作品の持つ力をくみ取るのである(そして、暗澹とした気分になる。)。
2年位前から、意味をやめてイメージで描いてる。メッセージとかあると、何か違うかなと感じて・・・・・・。 (124頁)
表紙からも分かるとおり、本書は明るいテーマの作品集ではない。
ずっと眺めていると、暗い気分にもなってくる。
この作品集は、自らが身を置く現実世界から引き剥がされてしまいそうな危険性、いわば闇をまとっているが、この闇は得体の知れない怪しげな魅力を放っている。